林業の現状
森林が豊かに見えるのは、ほんの表面だけかもしれません。
いま日本の森は、静かに、しかし確実に崩れ始めています。
人が離れ、手が入らなくなった森。働き手が減り、守る人がいなくなった林業。
その影響は、やがて環境や暮らしにも大きな代償をもたらします。
しかし、そんな日本の森が今どんな状況にあるのか、よく知らない人は多いのではないでしょうか?
この問題の深刻さを、まずは具体的なデータと現状からお伝えします。
1.林業従事者の収入の低さ
日本の林業従事者の平均年収は約356万円と、
全産業平均の約460万円を大きく下回って
います。100万円以上の差があるこの現実は、林業の経済的な魅力の乏しさを示しており、若年層の新規参入を困難にする要因となっています。
収入の低さは離職の原因にもなっており、
結果として担い手不足と高齢化が進み、
林業の将来性を脅かしています。
【出典:林野庁「木材流通・販売」】


2. 所有森林の放置と管理不足
日本では、特に人が住んでいない山林の約8割が「所有しているだけ」の状態で、実際には管理されていません。森林所有者が都市部に住んでいるケースも多く、遠隔地の山林を自分で手入れすることが困難になっています。このような管理不全は、土砂災害のリスクや生態系の乱れ、水資源への影響といった深刻な問題につながっています。
【出典:千葉県農林総合研究センター】
3. 森林資源の偏在と未活用
日本の森林面積は1966年以降、ほとんど変わっていませんが、森林の蓄積量(材積)は
この50年で約3倍に増加しています。
一見すると豊かに見えるこの数字は、実際には、
伐採や活用がされていないことの証拠です。
過密に成長した木々が光を遮り、地表には下草が育たず、生物多様性の低下や森林機能の衰退が進んでいます。管理・活用の不十分さが、森林そのものの健康を損ねているのです。
【出典:林野庁「我が国の森林と森林経営の現状」】


4. 地球規模の森林危機
世界的にも森林の危機は深刻です。国連食糧農業機関(FAO)によれば、現在のペースで森林破壊が進めば、100年以内に地球上の森林がすべて失われる可能性すらあります。森林は、CO₂の吸収や気候の安定、水源涵養、生物多様性の保全など、多面的な役割を担っています。その喪失は、
地球規模での環境問題や人間の暮らしに深刻な影響をもたらします。
【出典:国連食糧農業機関】

安全性・保険制度
「林業=危険」だと思っていませんか?
確かに自然を相手にする仕事には、一定のリスクが伴います。
しかし、今の林業は決して無防備ではありません。
もしもの時に備えるための保険制度や安全対策が、しっかりと整えられているのです。
以下では、林業従事者が安心して働くために用意されている、具体的な法律や取り組み、保険制度についてご紹介します。

安全教育や資格制度
林業現場では安全教育が充実しています。作業者が安全に業務を行うための資格取得制度も整っており、安全管理の基本となっています。
【出典:林野庁「林業労働安全衛生」】

ベテランの現場指導
現場の安全指導は経験豊富なベテランが担当し、実践的な安全対策を徹底しています。これは林野庁と厚生労働省が連携して指導している仕組みで、安全意識の向上に貢献しています。
【出典:林野庁・厚生労働省】

安全ルールの厳格化
労働安全衛生法や林業安全管理指針によって、安全ルールは厳格に定められており、現場での遵守が求められています。これにより、安全な作業環境の維持が確保されています。
【出典:厚生労働省「働き方改革」】
保険制度
万が一に備えられる安心が、林業にはあります。
林業に興味はあるけれど、「ケガをしたらどうしよう」「補償はあるの?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
でも、ご安心ください。林業には、個人でも加入できる保険制度が複数整備されており、比較的低コストで手軽に備えることができます。
リスクに立ち向かうための備えが、しっかりと用意されている。
それが、今の林業です。
以下に、具体的な保険制度をご紹介します。

労災保険(特別加入あり)
林業作業中のケガに対する補償を目的とした保険。万が一の事故時に経済的な負担を軽減できます。
保険料:年間数千円から数万円程度
簡易性:手続きも簡単であり、個人でも加入が可能

林業共済
地域や組合が運営する保障制度で、
地域コミュニティと連携した安心の保障を受けられます。
保険料:月額数百円から数千円
簡易性:組合員向けのため加入しやすい

民間傷害保険
労災保険でカバーしきれない部分を補うための保険です。補償内容も多様で、自分のニーズに合わせて選択できます。
保険料:年間一万円から数万円
簡易性:ネットや窓口から手軽に申し込みが可能

体に良い林業
林業は、科学的に証明された「全身健康アクティビティ」です。
林業は、ただの自然体験や肉体労働ではありません。
数々のデータにより、運動・メンタル・免疫のすべてに良い影響を与える、全身を整える活動であることが証明されています。
「山で汗を流すことが、心と体を整えるトレーニングになる。」
林業には、想像以上に本格的な運動効果があります。
筋力・持久力を鍛える作業負荷、森林環境による
リラクゼーション効果。
ジムでは得られない、自然の中での
筋トレ × 有酸素運動 × 森林浴が同時に叶うのです。
作業別にその具体的な効果をご紹介します。